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第4回 オーガンテックの挑戦2:「生体」と「人工材料」のハイブリッド
更新日:2026年3月13日
小川 美帆
小川 美帆,Ph.D.取締役CTO

東京理科大学大学院博士(理学)。大塚ホールディングス、理化学研究所を経て株式会社オーガンテック取締役CTO。再生医療・器官誘導分野の研究開発と事業化を推進。日本シェーグレン学会賞、エコノミスト未来賞2023 SDGs部門受賞。 プロフィール詳細 >
「生体」と「人工材料」を組み合わせるという答え
 第3回では、歯を機能ごと再生できる可能性が示された一方で、「歯のたね」をそのまま人の治療に応用することが難しいという課題があることを紹介しました。
(*この課題についてもっと詳しく知りたい人は、医療関係者向け第4回をご覧ください。)

 では、歯を再生するという考え方を、どのように現実の治療につなげればよいのでしょうか。
ここで重要なヒントになるのが、第1回から繰り返しお伝えしてきた歯根膜の存在です。

 天然の歯の機能の多くは、歯そのものではなく、
・噛む力をやわらかく受け止める
・噛み心地を感じ取る
・骨と調和して働く
といった働きを担う歯根膜によって支えられています。

 つまり、
「歯を丸ごと再生しなくても、歯根膜という“機能の鍵”を再現できれば、天然の歯に近い
働きを取り戻せる可能性がある」
という発想が生まれました。

ここでオーガンテックがたどり着いた発想は、
・長年の実績と安全性を持つ人工材料(インプラント)
・生理的な機能を担う生体組織(歯根膜)
という、生体と人工材料を組み合わせた「ハイブリッド医療」です(図1)。
図1
図1 生体と人工材料を組み合わせたバイオハイブリッドトゥース
ハイブリッドが切り開く、新しい歯科治療のかたち
 このハイブリッドの考え方では、
・噛む力を支える構造として、人工材料を使い
・噛んだ感覚や力の調整、骨との調和といった生理的な働きを、生体組織が担う
という役割分担がなされます。

 これは、
・再生医療の「理想」と
・現代医療の「現実性」
をつなぐ、極めて現実的なアプローチです。
人工物だけでもなく、再生だけでもない。
両者の長所を活かすことで、これまでにない歯科治療の可能性が見えてきました。
生体と人工材料は、どうつながるのか
 では、生体組織である歯根膜と、人工材料であるインプラントは、どのようにつながり、どのように機能するのでしょうか。

次回・第 5 回では、
歯根膜を介して、インプラントと生体が融合する仕組みについて、もう一歩踏み込んでご紹介します。
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※本記事は、2026年3月13日時点の情報に基づく研究・開発段階の内容であり、確定的な医療行為を示すものではありません。