
■ バイオハイブリッドインプラントの拓く未来
天然の歯は、歯根膜という靭帯を介して周囲の骨である歯槽骨と結合しています。この歯根膜は、噛んだ時の衝撃の吸収や感覚や痛みなどの知覚機能、免疫担当細胞の侵入による感染防御、加齢成長における歯の移動能など、多様な歯の生理機能を担っています。
歯の喪失に対する現代のもっとも優れた治療法は、インプラントです。インプラントは咬合を回復させ、審美的にも優れた治療法です。一方で、チタン製のインプラントを骨に直接、結合させるため、歯根膜がありません。そのため、歯根膜が関与する歯の生理機能がないことが課題だと考えられており、歯の生理機能を有するインプラントの開発が長らく期待されてきました。
私たちは、機能的な「歯の再生」として、インプラントの表面に天然の歯に存在する歯根膜を付与することに成功し、知覚や歯の移動能など、天然歯のほとんどの生理機能を有する次世代のインプラント、バイオハイブリッドインプラントを開発しました。イヌを用いた非臨床試験では16例中、すべてのイヌで機能的な歯根膜の形成が認められました。

■ バイオハイブリッドインプラント治療技術
これまでの骨結合型インプラントの治療では、歯の喪失部位や抜歯した部位で、最初に骨の再生を行います。その後、移植部位にドリルで穴をあけてインプラントをねじ込む手術を行い、インプラントを骨に結合させます。一般的に治療期間は7~14カ月程度といわれています。
一方、第1世代のバイオハイブリッドインプラント治療では、抜歯した直後に歯根と同サイズの専用インプラントを入れて4~6ヶ月固定します。治療後、約6カ月で歯根膜の形成が起こると考えています。あらかじめ専用インプラントの選定や固定器具を患者に合わせて作製するため移植は抜歯だけで簡単に施術されます。
バイオハイブリッドインプラントの治療は、インプラント専門医による骨を削るような手術を必要としないため、クリニックのリスクや患者の負担を低減することができます。

■ バイオハイブリッドインプラントのパイプライン
バイオハイブリッドインプラント治療の第1段階では、自分自身の歯根膜を利用します。治療の対象は、歯根膜は健全に残っているけれども、歯の破折やう蝕(虫歯)などで抜歯を必要とする場合です。これを第1世代バイオハイブリッドインプラントとして、まず歯根がひとつの単根歯からヒトでの臨床研究を始めています。臼歯などの複根歯については研究開発を進めています。
第2世代バイオハイブリッドインプラントは、歯周病で健全な歯根膜が得られない場合や歯を失って時間が経過した歯の喪失の場合が治療の対象になります。これらの治療には、歯根膜の再生や骨の再生が必要であると考えられますので、私たちの研究開発パイプラインの1つに位置付けています。

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