第2回
現行インプラントに残る 5 つの課題
―歯根膜が担う機能とは―
―歯根膜が担う機能とは―
更新日:2026年8月3日
下 義生代表取締役CEO
早稲田大学理工卒、中央大学・院総合政策研究科修士。2016年にトヨタ自動車、常務役員、2017年に日野自動車、社長、2021年に同社、会長を歴任。2024年9月より当社、代表取締役。 プロフィール詳細 >
早稲田大学理工卒、中央大学・院総合政策研究科修士。2016年にトヨタ自動車、常務役員、2017年に日野自動車、社長、2021年に同社、会長を歴任。2024年9月より当社、代表取締役。 プロフィール詳細 >
皆さん、こんにちは。オーガンテックの下です。
第 1 回では、私たちが目指す「次世代インプラントの標準化」についてお話ししました。今回は、その背景にある、現行のデンタルインプラントが抱える課題についてお話ししたいと思います。
世界のデンタルインプラント市場は拡大を続けています(図1)。市場調査会社 Global Market Insights によると、市場規模は 2024 年の約 49 億米ドルから 2034 年には約 96 億米ドルへ拡大し、年平均成長率(CAGR)は 6.9%と予測されています。高齢化の進展や口腔機能への関心の高まりを背景に、今後も安定した成長が期待される分野です。
第 1 回では、私たちが目指す「次世代インプラントの標準化」についてお話ししました。今回は、その背景にある、現行のデンタルインプラントが抱える課題についてお話ししたいと思います。
世界のデンタルインプラント市場は拡大を続けています(図1)。市場調査会社 Global Market Insights によると、市場規模は 2024 年の約 49 億米ドルから 2034 年には約 96 億米ドルへ拡大し、年平均成長率(CAGR)は 6.9%と予測されています。高齢化の進展や口腔機能への関心の高まりを背景に、今後も安定した成長が期待される分野です。
図1 世界のデンタルインプラント市場の拡大
現在主流となっているデンタルインプラント「骨結合型インプラント」は、失われた歯の咀嚼機能や審美性を回復する優れた治療法として広く普及しています。一方で、天然歯が本来備えている重要な組織である「歯根膜」は再現されていません(図2)。このことから、天然歯とは異なるいくつかの課題が残されていると考えています。
図2 天然歯と骨結合型インプラント
第一に、咬合時の衝撃を吸収する機能です。天然歯では歯根膜がクッションの役割を果たし、咀嚼時に加わる力を適度に吸収・分散しています。一方、現行のインプラントは骨と直接結合するため、このような生理的な緩衝機能は備えていません。
第二に、噛む感覚(知覚機能)です。現行インプラントには再現されていない歯根膜には多くの神経終末が存在し、噛む力や食感などを脳へ伝えています。この知覚機能は、自然な咀嚼や口腔機能の維持に重要な役割を果たしています。
第三に、生体防御機能です。天然歯周囲組織は、歯根膜や歯周組織が一体となって細菌などに対する生体防御に関与しています。現行のインプラントでは天然歯と同じ組織構造を有しているわけではなく、この点は今後も研究が進められている領域です。
第四に、生理的な歯の移動への適応です。天然歯は歯根膜を介して骨のリモデリングが行われることで、生涯にわたりわずかな生理的移動や歯列矯正に対応できます。一方、骨と直接結合するインプラントでは、このような生理的移動は期待できません。
第五に、成長期への適応です。現行のインプラントは顎骨の成長が続く若年者への適応が限定されるため、一般的には顎の成長が終了してから治療が行われます。
これらの課題に共通しているのは、天然歯が本来持つ歯根膜の機能です。だからこそ私たちは、「歯根膜をいかに取り戻すか」が、次世代インプラントの重要なテーマになると考えています。
オーガンテックは、器官再生研究で培ってきた技術を基盤に、この課題の解決に取り組んでいます。目指しているのは、単に現行のインプラントを改良することではありません。天然歯が本来備えている機能により近づけることで、患者さんに新たな治療の選択肢を提供することです。
次回は、この考え方を具体化した私たちの技術、「Bio-hybrid Tooth(バイオ・ハイブリッド・トゥース)」についてご紹介します。歯根膜を備えた新しいインプラントという発想が、歯科医療にどのような可能性をもたらすのかをご説明したいと思います。
第二に、噛む感覚(知覚機能)です。現行インプラントには再現されていない歯根膜には多くの神経終末が存在し、噛む力や食感などを脳へ伝えています。この知覚機能は、自然な咀嚼や口腔機能の維持に重要な役割を果たしています。
第三に、生体防御機能です。天然歯周囲組織は、歯根膜や歯周組織が一体となって細菌などに対する生体防御に関与しています。現行のインプラントでは天然歯と同じ組織構造を有しているわけではなく、この点は今後も研究が進められている領域です。
第四に、生理的な歯の移動への適応です。天然歯は歯根膜を介して骨のリモデリングが行われることで、生涯にわたりわずかな生理的移動や歯列矯正に対応できます。一方、骨と直接結合するインプラントでは、このような生理的移動は期待できません。
第五に、成長期への適応です。現行のインプラントは顎骨の成長が続く若年者への適応が限定されるため、一般的には顎の成長が終了してから治療が行われます。
これらの課題に共通しているのは、天然歯が本来持つ歯根膜の機能です。だからこそ私たちは、「歯根膜をいかに取り戻すか」が、次世代インプラントの重要なテーマになると考えています。
オーガンテックは、器官再生研究で培ってきた技術を基盤に、この課題の解決に取り組んでいます。目指しているのは、単に現行のインプラントを改良することではありません。天然歯が本来備えている機能により近づけることで、患者さんに新たな治療の選択肢を提供することです。
次回は、この考え方を具体化した私たちの技術、「Bio-hybrid Tooth(バイオ・ハイブリッド・トゥース)」についてご紹介します。歯根膜を備えた新しいインプラントという発想が、歯科医療にどのような可能性をもたらすのかをご説明したいと思います。
※本記事は、2026年8月3日時点の情報に基づく研究・開発段階の内容であり、確定的な医療行為を示すものではありません。



